「水道代って、こんなにかかってたっけ……」
検針票を見て、ふとそう感じたことはありませんか。電気代やガス代に比べると、水道代は2か月に1回の請求が多いこともあって、つい後回しになりがちです。
水道代の節約というと、節水シャワーヘッドなどのグッズを思い浮かべる方が多いかもしれません。ただ、グッズを買う前にやってほしいことがあります。それは「自分の家のどこで水を使いすぎているのか」を知ることです。場所がわからないまま対策をしても、効果が出にくいからです。
この記事では、検針票の見方から、お風呂・洗濯・台所など場所別の見直しポイント、見落としがちな漏水チェックまで、お金をかけずにできる順番で整理しました。
なお、水道料金は自治体や家族の人数によって大きく変わります。この記事の水量や金額はあくまで目安として、「うちの場合はどこが多そうか」を見つける材料にしてください。
水道代は「地域・人数・季節」でかなり変わります
最初に押さえておきたいのは、水道代には「全国共通の正解」がないことです。
- 地域差:水道料金は自治体ごとに決められていて、同じ使用量でも金額が大きく違うことがあります。
- 人数差:家族が増えれば、そのぶん使用量も増えます。
- 季節差:夏のシャワーや洗濯、年末の大掃除など、時期によって増える家庭もあります。
参考までに、東京都水道局の調査では、1か月あたりの平均使用水量は1人暮らしで8m³前後、3〜4人家族で20m³台前半が目安とされています。ただしこれは東京都の例で、生活スタイルによっても差が出ます。
また、多くの地域では下水道料金も水の使用量をもとに計算されるため、使う水を減らせると上下水道の両方に効いてきます(計算方法は自治体によって異なります)。
だからこそ、「平均より高いかどうか」で一喜一憂するより、「わが家の使用量が以前と比べて増えていないか」 を見るほうが現実的です。
最初の一歩は「検針票(水道使用量のお知らせ)」を見ること

水道代の見直しは、ポストに入っている検針票(「水道使用量のお知らせ」など、名称は自治体によって違います)を見るところから始まります。正直に言うと、私も以前は金額だけ見て、そのまま捨てていました。
見るポイントは3つだけです。
- 今回の使用水量(m³):金額ではなく、まず量を見ます。1m³=1,000リットルです。
- 前回の使用水量:多くの自治体は2か月ごとの検針なので、前回(2か月前)と比べます。
- 前年同期の使用水量:検針票に載っている場合があります。季節の影響を除いて比べられます。
ここで「使い方は変わっていないのに、急に増えている」場合は、後ほど紹介する漏水の可能性も頭に入れておいてください。
使用水量を家計簿に一緒にメモしておくと、変化に気づきやすくなります。記録のハードルを下げるコツは「家計簿が続かない人のための家計管理入門」でまとめています。
家庭で水を多く使うのは「お風呂・トイレ・洗濯・炊事」

次に、「家のどこで水が使われているのか」の全体像です。東京都水道局の調査によると、家庭での水の使われ方はおおよそ次のとおりです。
| 使う場所 | 割合の目安 |
|---|---|
| お風呂 | 約4割 |
| トイレ | 約2割 |
| 洗濯 | 約15% |
| 炊事(台所) | 約15% |
| 洗面・その他 | 約6% |
※出典:東京都水道局「一般家庭水使用目的別実態調査(令和3年度)」をもとに作成。割合は概数で、調査年や家庭の生活スタイルによって変わります。
つまり、水道代を見直すなら、まずお風呂まわりから。次にトイレ・洗濯・台所、という順番が効率的です。ここからは、場所別に見直しポイントを紹介します。
お風呂・シャワー:いちばん見直し効果が出やすい場所

家庭の水の約4割を使うお風呂は、見直しの本丸です。
シャワーの「流しっぱなし」を確認する
東京都水道局によると、一般的な家庭用の蛇口を全開にすると、1分間に約12リットルの水が流れます。シャワーを3分間流しっぱなしにすれば約36リットル。体や髪を洗っている間も出しっぱなしにしていると、それだけでかなりの量を流していることになります。
私もかつては、考えごとをしながらシャワーを出しっぱなしにするタイプでした。「洗っている間は止める」「家族それぞれ1分ずつ短くする」だけでも、毎日の積み重ねとしては小さくありません。
湯船とシャワー、どちらが得かは家庭によります
浴槽1杯分の残り湯は、一般的な家庭で約180リットルとされています。
- 1人暮らしで短時間のシャワーなら、湯船を張るよりシャワーのほうが水量が少なくなる場合があります。
- 家族が多い場合は、1杯のお湯を全員で使い、シャワーは短めにするほうが少なく済む場合があります。
「絶対にこちらが得」とは言い切れないので、わが家の入り方をもとに考えてみてください。
残り湯は捨てずに使う
東京都水道局は、残り湯約180リットルの半分を洗濯・掃除・散水などに使えば約90リットルの節水になると案内しています。全部を使い切ろうとしなくても、「洗濯の洗いに使う」だけで十分です。
なお、お風呂のお湯は水道代だけでなく、お湯を沸かすガス代にも直結します。お風呂の見直しは、光熱費を二重に下げられる可能性のある場所です。ガス代が気になる方は、ガス代の見直しポイントもあわせて確認してみてください。
洗濯:回数とまとめ方を見直す
洗濯は「1回あたりの水量」より「回数」がポイントです。
- まとめ洗いにする:毎日1回を2日に1回にできれば、単純に使う水は減ります。ただし詰め込みすぎは汚れ落ちが悪くなるので、容量の8割程度を目安にしてください。
- 残り湯を「洗い」に使う:衛生面が気になる方も多いと思いますが、残り湯は「洗い」だけに使い、すすぎは水道水にすれば、においや汚れ残りの心配を減らせます。風呂水用のポンプは数百円〜2,000円程度で手に入ります。
- すすぎ1回コースを活用する:すすぎ1回に対応した洗剤を使っている場合は、コースを変えるだけで水量を減らせます。お使いの洗剤の表示を確認してみてください。
台所:「流しっぱなし」を「ためる」に変える
炊事で水を使いすぎる原因の多くは、食器洗い中の流しっぱなしです。
蛇口全開で1分約12リットルですから、5分間流しっぱなしにすると約60リットルにもなります。洗い桶やボウルに水をためて「ため洗い・ためすすぎ」にするだけで、流す量をかなり抑えられます。
あわせて、次の2つも毎日のことなので積み重なります。
- 油汚れはキッチンペーパーや古布で拭き取ってから洗う(水も洗剤も、お湯を使う場合はガス代も減らせます)
- 野菜を洗うときも、ためた水を使う
ちなみに、油汚れを拭き取るときは、キッチンペーパーだけでなく、古布・古新聞・梱包に使われていた古紙などでも十分です。

私も、荷物に入っていた無地の梱包紙を取っておいて、フライパンや皿に残った油を先に拭き取ることがあります。どうせ捨てる紙を使えるので、キッチンペーパーを毎回使うよりも気楽です。
ポイントは、油やソースをそのまま水で流さず、先に紙や布でぬぐってから洗うこと。水の量だけでなく、洗剤やお湯の使用量も減らしやすくなります。
ただし、汚れた紙は排水口に流さず、燃えるごみとして捨ててください。インクや汚れが気になる紙は、食器に強くこすりつけるより、フライパンや皿に残った油をざっと取る用途に使うくらいが安心です。
洗面・歯磨き:コップひとつで変わる小さな習慣
割合としては小さい洗面まわりですが、「流しっぱなしに気づく練習」としてちょうどいい場所です。
歯磨き中に30秒水を流しっぱなしにすると約6リットル。コップにくんで口をすすげば、3杯でも約0.6リットルで済みます。1回あたりの差は小さくても、1日2〜3回、家族の人数分、365日と考えると、ばかにできません。
トイレ:レバーの使い分けと「やってはいけない節約」
トイレは家庭の水の約2割を使う場所です。
- 「大」と「小」のレバーを使い分ける:「小」のほうが流す水量は少なく設定されています。
- 2度流しを減らす:流れにくいときは、トイレットペーパーを一度に流しすぎていないかも確認してみてください。
そして1つ、注意してほしいことがあります。
タンクにペットボトルや瓶を入れて水量を減らす方法は、おすすめしません。 タンク内の部品の故障や、水量不足による詰まり・流れ残りの原因になり、かえって2度流しや修理費につながるおそれがあります。
古いトイレは1回に流す水量が多めですが、買い替えには費用がかかりますし、賃貸では難しい場合がほとんどです。まずは今の設備でできる使い分けから始めましょう。
水道代が急に上がったら「漏水」を疑ってください

使い方を変えていないのに水道代が急に増えた場合、漏水の可能性があります。気づかないまま続くと、水道代がかさむだけでなく、建物への影響も心配です。次の手順で確認できます。
水道メーターでの漏水チェック手順
- 家中の蛇口・水栓をすべて閉めます(洗濯機や食器洗い機なども止めます)。
- 水道メーターのフタを開け、「パイロット」と呼ばれる小さな銀色の部品を見ます。
- 水をまったく使っていないのにパイロットが回っていたら、どこかで漏水している可能性があります。
よくある漏水ポイントは、便器の中をチョロチョロと水が流れ続けるトイレ、ポタポタが止まらない蛇口、屋外の散水栓まわりなどです。
漏水が疑われたら、自治体の水道局や、自治体が公表している指定給水装置工事事業者に修理を相談してください。「お住まいの自治体名+指定給水装置工事事業者」で検索すると一覧が出てきます。
また、地中や壁の中など発見しにくい場所の漏水については、申請すると水道料金の一部が減額される制度を設けている自治体があります。対象になる条件や手続きは自治体によって異なるので、検針票に記載されている水道局の窓口に確認してみてください。漏水分の料金は原則として利用者の負担になるため、「様子見」で放置しないことが大切です。
節水グッズは「使いすぎの場所」がわかってから
ここまで読んで、「うちはシャワーが長いかも」「台所の流しっぱなしが多そう」と心当たりが見つかった方もいると思います。節水グッズを検討するのは、その後で十分です。
| グッズ | 向いている家庭 | 注意点 |
|---|---|---|
| 節水シャワーヘッド | シャワー時間が長い、家族が多い | 水圧の感じ方に好みがある。賃貸では元のヘッドを保管しておく |
| 節水コマ | 台所・洗面で流し洗いが多い | 自治体が無料配布している場合がある(例:東京都水道局は営業所で配布)。レバー式の水栓には取り付けられない |
| 風呂水ポンプ | 残り湯で洗濯したい | すすぎは水道水で。ホースの手入れも必要 |
| 洗い桶・ボウル | ため洗いを始めたい | 100円ショップのもので十分 |
大事なのは、グッズは「買えば解決」ではなく、使い方を変えたうえでの補助だということです。使いすぎていない場所にグッズを足しても、効果はほとんど感じられません。逆に、シャワー時間が長い家庭の節水シャワーヘッドのように、使いすぎの場所に合ったものなら検討する価値があります。
まとめ:水道代の節約は「検針票→場所の特定→無理のない見直し」の順番で
最後に、この記事の内容をチェックリストにしておきます。できそうなものから、1つずつで大丈夫です。
- 検針票で使用水量(m³)を前回・前年と比べた
- シャワーの「流しっぱなし時間」を意識してみた
- 台所の食器洗いを「ため洗い」にしてみた
- 歯磨きをコップに変えた
- 洗濯をまとめ洗いにできないか考えた
- トイレの大小レバーを使い分けた
- 全部の蛇口を閉めて、メーターのパイロットを確認した
水道代は、電気代やガス代に比べると下げ幅が小さく見えるかもしれません。それでも、「使いすぎている場所に自分で気づいて直せた」という経験は、家計を立て直すうえで確実に力になります。
そして、水道だけを頑張りすぎる必要はありません。お湯の使い方はガス代に、家電の使い方は電気代につながっています。電気代の見直し手順は「電気代が高い原因と節電の順番」で、通信費や保険なども含めた固定費全体の見直し順は「固定費の見直し完全ガイド」でまとめています。光熱費はセットで、無理のない範囲から整えていきましょう。

