「生活保護を受けるほどではない気がする。でも、毎月ギリギリで貯金もできない」——そんなふうに感じながら、どこに相談すればいいのかわからないまま過ごしている方は少なくありません。
実は、生活保護以外にも、生活費・家賃・仕事のことで相談できる公的な制度や窓口がいくつもあります。その多くは「お金をすぐ渡す」制度ではなく、「あなたの状況を一緒に整理して、使える支援につなぐ」相談から始まります。しかも、公的窓口の相談は基本的に無料です。
この記事では、生活保護以外に使える主な支援制度を、「家賃が払えない」「生活費が足りない」「仕事を失った」といった状況別に整理します。制度名を覚える必要はありません。自分に近い相談先を見つけるための入口として、気軽に読んでみてください。
生活保護以外にも、相談できる制度・窓口はあります
日本の支援制度は、よく「3つのセーフティネット」で説明されます。1つ目が雇用保険などの社会保険、3つ目が生活保護です。そして、その間(第2のセーフティネット)にあるのが、生活困窮者自立支援制度や求職者支援制度です。
生活困窮者自立支援制度は、生活保護を受けている方以外で、生活が苦しくなりそうな人を早めに支えるためにつくられた仕組みです。つまり、「生活保護まではいかないけれど、このままだと厳しい」という段階の人のための制度だと考えてください。
最初にお伝えしておきたいのは、生活保護も、必要なときには誰もが使える正当な制度だということです。「最後の手段」「恥ずかしいもの」と思って遠ざける必要はありません。この記事は生活保護を避けるためのものではなく、「生活保護以外にも選択肢がある」ことを知ってもらうためのものです。状況によっては、生活保護の相談が一番合っていることもあります。
私自身も、お金に余裕がなかった時期に一番きつかったのは、「どこに相談していいのかわからない」という不安でした。だからこそ、まずは相談できる場所を知っておくことが、最初の一歩になります。
まず相談するなら「自立相談支援機関」

生活保護以外の支援を考えるとき、入口になりやすいのが自立相談支援機関です。これは生活困窮者自立支援制度にもとづいて、全国の自治体に設置されている相談窓口です。
ここでは、専門の支援員が話を聞き、一人ひとりの状況に合わせた支援プラン(支援計画)を一緒に作ってくれます。相談は無料で、「何から手をつければいいかわからない」という段階でも利用できます。
制度全体の地図を先に見ておきたい方は、お金がないときに使える支援制度まとめもあわせて読んでみてください。
なお、窓口の名前は「自立相談支援機関」のほか、「くらしサポートセンター」など自治体ごとに違うことがあります。場所は、お住まいの市区町村のホームページや、厚生労働省のサイトから探せます。
状況別|あなたに近い相談先の見つけ方

ここからは、よくある困りごとごとに、相談先の目安を整理します。あくまで「入口の目安」で、実際に使える制度は個別の状況によって変わる点だけ、先に覚えておいてください。
家賃が払えない・払えなくなりそう
家賃の不安があるなら、早めに自立相談支援機関へ相談するのがおすすめです。条件に当てはまれば、家賃相当額を一定期間支給する住居確保給付金の対象になる可能性があります。
住居確保給付金は返済不要の「給付」で、原則3か月(最長9か月まで)、自治体が定める上限額の範囲で支給されます。離職・廃業から一定期間内の方や、収入が大きく減った方などが対象で、世帯の収入や預貯金の基準があります。
滞納しそうなときの動き方は家賃が払えないときの相談先と手順で、制度の中身は住居確保給付金とは?対象・申請前の確認で詳しく解説しています。
生活費が今すぐ足りない
食費や光熱費など、目の前の生活費が足りないときも、まずは自立相談支援機関に相談してみてください。状況によっては、社会福祉協議会の生活福祉資金(緊急小口資金など)の案内を受けられることがあります。
ただし、生活福祉資金は「給付」ではなく「貸付」、つまり後で返す必要があるお金です。無利子・低利で、民間の消費者金融とは性質が違いますが、借りる前に返済の見通しも一緒に相談しておくと安心です。
電気・ガス・水道・スマホ代の支払いが厳しいときは、止まる前に各窓口へ相談すると、支払いを待ってもらえたり、分割にできたりする場合があります。優先順位の付け方は公共料金・スマホ代が払えないときの優先順位で整理しています。
仕事を失った・収入が大きく減った
退職や収入減があったときは、ハローワークが大きな入口になります。雇用保険に入っていた方は失業保険(基本手当)を受けられる場合があり、それと並行して職業相談や求人紹介も受けられます。
雇用保険の対象外だった方(自営業だった方や、受給が終わった方など)でも、後ほど触れる求職者支援制度という別の仕組みがあります。生活費の不安が重なっているなら、ハローワークと自立相談支援機関の両方に相談しておくと、収入面と生活面の両方をカバーしやすくなります。
すぐに働くのが難しい
体調や気持ちの面で「すぐにフルタイムで働くのは難しい」という方もいます。そうした場合は、いきなり就職を目指すのではなく、生活リズムを整えたり、少しずつ仕事に慣れたりするための就労準備支援や、無料で受けられる職業訓練という選択肢があります。
自立相談支援機関では、こうした「働く準備の段階」からの相談にも対応しています。焦らず、今の自分に合うペースを一緒に考えてもらえます。
お金の管理がうまくいかない
「収入はあるのに、なぜか毎月足りなくなる」「何にいくら使っているかわからない」という場合は、家計改善支援という仕組みがあります。これも生活困窮者自立支援制度の一部で、支援員と一緒に家計を見える化し、立て直しの計画を作っていけます。
自分でも家計を整えてみたい方は、赤字家計を抜け出す5ステップもヒントになります。
借金を考えている・すでに返済が苦しい
「もう借りるしかないかも」と思ったときこそ、申し込む前に公的な相談窓口を使ってほしいタイミングです。自立相談支援機関や社会福祉協議会では、借金以外に使える制度がないかを一緒に確認できます。
すでに返済が苦しい場合も、ひとりで抱え込まず相談することで、整理の方法が見つかることがあります。高金利の追加借入や、「すぐ稼げる」とうたう怪しい副業に頼る前に、まずは無料で相談できる窓口を思い出してください。
知っておきたい主な制度・窓口
状況別の相談先で出てきた制度を、もう少し整理します。お金の「性質」(返さなくていいのか、返すのか)の違いに注目すると、選びやすくなります。
| 制度・窓口 | 主な内容 | お金の性質 | 主な相談先 |
|---|---|---|---|
| 生活困窮者自立支援制度 | 生活・仕事の相談、支援プラン作成、家計改善支援など | 相談支援(無料) | 自立相談支援機関 |
| 住居確保給付金 | 家賃相当額を一定期間支給 | 給付(返済不要) | 自立相談支援機関 |
| 生活福祉資金 | 生活再建のための資金の貸付 | 貸付(返済が必要) | 社会福祉協議会 |
| 求職者支援制度 | 無料の職業訓練+一定要件で給付金 | 訓練+給付 | ハローワーク |
生活困窮者自立支援制度
相談支援が中心の制度です。自立相談支援のほか、働く準備を支える就労準備支援、家計を立て直す家計改善支援など、状況に応じた支援が用意されています。2024年に法律が改正され、2025年4月からは住まいに関する相談支援なども強化されています。
住居確保給付金(家賃の「給付」)
家賃相当額を支給する、返済不要の制度です。対象になるかどうかは、離職・収入減の状況や、世帯の収入・預貯金などで判断されます。対象は家賃部分で、共益費・管理費・駐車場代・水道光熱費などは含まれません。2025年4月からは、家賃が家計を圧迫している場合に、より家賃の安い住まいへの引っ越し費用を補助する「転居費用補助」も新設されました。受給中は、求職活動や収入の状況を定期的に報告する必要があります。
生活福祉資金(社会福祉協議会の「貸付」)
社会福祉協議会が窓口の貸付制度です。低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯などを対象に、緊急小口資金、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金などがあります。無利子・低利で、連帯保証人を立てられない場合でも相談できますが、あくまで「借りるお金」なので、返済の見通しもふくめて社会福祉協議会で相談しましょう。(新型コロナ対応の特例貸付は2022年9月で受付を終了しています。)
職業訓練・ハローワーク(求職者支援制度)
雇用保険を受けられない方でも、無料で職業訓練を受けられる制度です。一定の収入・資産などの要件を満たすと、月10万円の「職業訓練受講給付金」や通所手当(交通費)が支給される場合があります(例:本人の月収8万円以下、世帯収入月30万円以下、世帯の金融資産300万円以下など)。要件や対象となる訓練は見直されることがあるので、最新の内容はハローワークで確認してください。
相談前に用意しておくと役立つもの

何もそろっていなくても、相談はできます。ただ、次のものがあると話がスムーズです。
- 収入がわかるもの(給与明細、振込のわかる通帳など)
- 家賃や公共料金の請求書・領収書
- 預貯金がわかるもの(通帳など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 仕事を辞めた場合は、離職票や退職を確認できる書類
「全部そろえてから」と思うと、かえって動き出せなくなりがちです。まずは電話で「こういう状況なんですが」と話すだけでも大丈夫です。
最後に、共通して気をつけたいことがあります。ここで紹介した制度は、対象・要件・支給額・上限・窓口が、制度ごとにも自治体ごとにも異なります。この記事の内容はあくまで一般的な入口の説明で、実際に使えるかどうかは個別の状況によって変わります。利用を考えるときは、必ずお住まいの自治体や各窓口で、最新の情報を確認してください。
まとめ|まずは「相談できる場所がある」と知ることから
生活が苦しいとき、「生活保護以外にどうすればいいのかわからない」と感じるのは自然なことです。でも、その間を支えるための制度や相談窓口は、ちゃんと用意されています。
迷ったら、まずは自立相談支援機関に相談する。これが一番シンプルな第一歩です。家賃なら住居確保給付金、生活費の貸付なら社会福祉協議会、仕事なら求職者支援制度やハローワーク——というように、状況に合わせて窓口は変わりますが、入口で相談すれば、自分に合った支援につないでもらえます。
そして、生活保護も含めて、使える制度を比べながら選んで大丈夫です。ひとりで抱え込まず、無料の相談から始めてみてください。
生活が少し落ち着いてきたら、お金がないときに使える支援制度まとめで全体像を確認したり、赤字家計を抜け出す5ステップや貯金ゼロから始める家計立て直し完全ガイドで家計の立て直しに進んでいくのもおすすめです。

